チラックス研究所

チラックスを目指すブログ。ウィンブルドン、ランニング、外から見た日本、海外生活、書評などについて。

箱根駅伝の思い出、僕が見続ける理由、オススメの本

かれこれ10年以上、箱根駅伝の生中継を全て見ている。つまり、1月2日と3日は11時間超をテレビの前で過ごす。ここ5年は、9時間の時差のあるロンドンにいるので、スタートは真夜中、ゴールは明け方となり、ほぼ徹夜である。でもやはりスポーツは録画ではなく、リアルタイムで見ることに醍醐味があると思っている。

今年はネット環境にトラブルがあり、いつもの方法が使えず、急遽ロンドンの自宅と日本の実家とをフェイスタイムで繋いで、実家のテレビを遠隔で見るという苦労を強いられた。

箱根駅伝のスポーツコンテンツとしての面白さ

ここまでするのは、やっぱり箱根駅伝がスポーツコンテンツとして面白いからだ。優勝争い、シード権争いという勝ち負けの世界での見どころあり、山登り、山下りでのごぼう抜きという個人としての見せ場あり、さらに、正月三が日ののんびりした時間と、1区間約20km×10区間という長丁場が上手くマッチしている。

マスコミが上手く盛り上げて国民的人気イベントとなった今、選手個人の様々なドラマまで取材されて、メディアは消化し切れないほど情報に溢れている。さらに昨今では、ツイッター、インスタグラムなどでの選手からの直接アップデート、熱狂的なファンからの情報発信も豊富で、追いかけるのが大変である。しかし、シーズンを通して選手たちの動向を追い、事前知識をつけると、箱根駅伝本番をより楽しむことができる。

ここ2年は、著名な陸上長距離ファンであるEKIDEN NEWS氏による、細かすぎる箱根駅伝ガイドも発売されている。僕も普通の人に比べたら相当詳しい方だと思うが、上には上がいることがよくわかる一冊だ。

あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド! 2019 (ぴあMOOK)

山の神・柏原竜二の圧巻の走りをきっかけに東洋大を応援

最近ではなんとなく毎回、東洋大を応援している。東洋大を応援するきっかけとなったのは、やはり柏原竜二さんの山登りの圧倒的パフォーマンスを見て、うおーこれはすげーと思ったからだろう。(以下、競技活動中、引退に関わらず敬称を略す)

柏原の場合、1年生のときの関東インカレ10,000mで3位(日本人トップ)に入り、全日本大学駅伝でも区間賞を獲得するなど、平地での実力も折り紙つきだった。だから1年生とは言え、有力選手として活躍するだろうと思われていたが、予想を上回る鮮烈なデビューとなった。4分58秒差で9位でもらった襷を、トップで芦ノ湖までもってきたのだ。

ちなみに、現在の東洋大の2年生西山和弥も、1年生時の関東インカレ10,000mで日本人トップになり(リオ五輪出場の順天堂大・塩尻和也にも競り勝っている)、2018年箱根駅伝1区区間賞など素晴らしい成績を残している。西山と柏原とはなんとなく顔の系統も近い気がするので、今後の活躍を期待せずにはいられない。

さて、柏原は2年生でも区間新記録で自身の記録を更新し、2年連続の東洋大の総合優勝に貢献。3年生は、前の2年に比べると不調で、区間賞はきっちり押さえたものの、チームは早稲田大にわずか21秒差で敗れる試練の年となった。

4年生では、設楽啓太、悠太兄弟などのチームメンバーの成長もあり(注、悠太は7区)、5区の柏原は初めてトップで襷をもらう。3度目の区間新記録、東洋大も断トツの総合優勝で、有終の美を飾った。

個人的には、このときの3区の山本憲二(現マツダ所属)の走りに痺れた。前年はアンカーとして区間賞の走りをしながら、21秒前でゴールした早稲田大の歓喜の瞬間を目の当たりにした。この年は逆に、早稲田大を3区後半、湘南の海岸線沿いで突き放した。僕はこの年の東洋大の優勝はここで決まったと思っている。山本は2018年の東京マラソンで好走し、マラソングランドチャンピオンシップ出場権を獲得している。

柏原時代から設楽兄弟時代までの東洋大を振り返りたかったら、酒井監督の書いたこの一冊がオススメだ。

その1秒をけずりだせ 駅伝・東洋大スピリッツ

山の神たちのその後

現時点で山の神と呼ばれるのは、今井正人(順大)、柏原竜二、神野大地(青学大)の三名であるが、彼らは強豪校のエースレベルの平地での走力があり、なおかつ山登りの適正があった。

服部翔大(日体大)、設楽啓太(東洋大)も柏原卒業以降、山登りで区間賞を獲ったエースたちだが、記録は山の神レベルまでは行かなかった。もちろん服部が区間賞を獲った年は強風が吹き荒れていたので、単純な比較はできないものの、彼らの場合、平地の走力が主要因となった区間賞だろう。

少々気になるところが、山登りで区間賞をとったエースたちが、社会人となって当時ほどのインパクトを残せていないことだ。

柏原は卒業後は怪我が続き、2017年には引退した。もちろん、今井は日本代表にも選ばれているし、神野も挑戦開始からまだ1年のマラソンでは思うような成果が出てないものの、ニューイヤー駅伝では好走しているなど、素晴らしい結果もあるのは事実だ。

しかし、服部、設楽啓も含めて、注目度で言うと学生時代ほどの、スポーツ紙の一面を飾るような華々しい結果、あるいは本人が望むような結果には、まだ到達してないのではないか。

このように感じるのは、山の神、あるいは各校のエースとしての注目が先行してしまい、われわれ一般人が、ある意味過剰な期待を持ってしまっているからかもしれない。要は、躍動感あふれる姿で山を駆け登ったヒーローの残像が、僕らに強く残っているのだ。

一方で山下りの方は、谷口浩美、川内優輝など、日本を代表するランナーを生んでいる。谷口まで遡るのは反則かもしれないが、そんな印象がある。もし山登りのダメージが、その後の競技生活に響いているとしたら、問題ではある。しかし、あれだけ注目される檜舞台を学生や視聴者から奪うのは、もはや不可能だろう。

2019年箱根駅伝の展望

2018年の出雲駅伝、全日本大学駅伝を制し、二度目の学生駅伝三冠に王手をかけた青山学院大が大本命だろう。東洋大、東海大にもチャンスはあるか。青山学院大が優勝確率50%、東洋大20%、東海大15%、駒沢大10%、その他の大学5%という感じではないか。

東大の近藤秀一にも注目したい。4年連続で関東学生連合に選出されており、特に3年生だった2018年の箱根駅伝では、チームのエースとして活躍が期待されていた。しかし、まさかのインフルエンザに罹り出場が叶わなかった。4年生として迎える今回は、夏場の怪我もあり3年生のときほど順調ではない様子だが、とにかく出場を果たしてほしい。

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柏原時代を振り返るのに最適な3冊。青学時代以前の箱根の全てがわかる。