欧州でサマータイムが廃止の方針であるとニュースになっている。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は31日、サマータイム(夏時間)の廃止を提案する方針を決めた。
これは厳密に言うと間違っている。この日経のニュースだけ読むと、夏に1時間進めていた時間を戻してもう進めることはしない、と思ってしまうが、そうではない。
正しくは、サマータイム「制度」を廃止し、1時間進んだ夏時間に固定する方向とのこと。海外のニュースを見るとそこまで載っている。たとえばBBCでは以下のようにあり(太字は筆者)、「一年中夏時間に」ということだ。
Commission President Jean-Claude Juncker said millions "believe that in future, summer time should be year-round, and that's what will happen".
確かに、欧州委が行ったパブリックコメントのアンケート原本を確認すると、「永久に夏時間」か「永久に冬時間」どちらが良いか選ぶ質問がある。
質問は「もし時間をずらすことをやめるならば、どの時間を使うのがよいと思うか?」。答えは「夏時間(=冬時間+1時間)」「冬時間」「わからない」の3つから選択する。その結果、「夏時間」と答えた人が多かった模様。
この質問の結果については、パブコメ結果の速報についての欧州委のプレスリリースでは触れられておらず、ユンケル委員長の発言で明らかになった。(ちなみにこのプレスリリース、22カ国語分ある。)
なので、欧州市民が反対しているのは「春秋に1時間ずつ時間を動かすこと」であって、標準時刻をどちらに合わせるかということについては、日没時刻が遅くなる現行の夏時間を選んでいるということに注意しないとならない。つまり、厳密には「夏時間廃止」ではなく、「夏時間恒久化」である。夏に日が長いのは嬉しいので、夏時間を選ぶ人が多いのは頷ける。
参考までに、欧州市民の意見と同じく、東京をずっと夏時間にした場合、日の出と日没時刻は以下のようになる。
- A 現行
夏至 日の出4:25 日没19:00
冬至 日の出6:47 日没16:32 - B ずっと夏時間(+1)
夏至 日の出5:25 日没20:00
冬至 日の出7:47 日没17:32
ここからは個人的な意見であるが、夏の日没時刻が遅いことをこの上なく高く評価しているので、冬の朝が暗いデメリットを差し引いてもB推しである。つまり、欧州に合わせて、1時間進めて夏時間にしてそのままにしよう、ということである。(欧州の方針も決まったわけではないが。)
サマータイムについて否定的な意見が多いようだが、経験者の私がメリットを伝えよう。
— k1_s (@k1_s) August 7, 2018
「遅くまで明るいと気分が明るくなる」の一言に尽きる。
これは経験しないとわからないかもしれない。でも本当だ。会社を出る時に明るいと嬉しいし、遊びに行こうと思える。
ネットを見ると、デメリットの多くはITシステム変更など「仕事が増える」ことだと言われている。
確かに仕事は増えるだろうから、現状の人員で対処しようとせずに、追加で人員を雇った方が良いだろう。臨時雇用で良いが、臨時雇用の待遇は常時雇用より高くする。人手を増やさずに仕事だけ増えるのは絶対ダメだ。働き方改革、忘れずに。
仕事が増えるということは、本来雇用を生み経済を大きくするプラスの効果があるはず。今いる人がただ忙しくなるだけなら誰もやりたがらないので、リソースの配分を正しくやる必要があるが。そしてそれが今の日本でかなり難しいということもわかっているが、そしてITシステム的な問題も容易に想像できるが、どうしても「夏に日が長いのは素晴らしい」という全てを超越してしまう個人的な意見だけ伝えておきたかった。