Google が4月16日、街の混雑データを更新して公開した。日本については4月11日時点のデータに更新されている。データの見方の注意点については、最初に公開された時に以下の記事にまとめている。
前回記事はこちら。
この記事では、東京について、3時点のデータを比べて、特に4月7日の緊急事態宣言後の変化を見てみたいと思う。
- 日本についてのレポート(3月29日(日)時点)
https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-03-29_JP_Mobility_Report_en.pdf
- 日本についてのレポート(4月5日(日)時点)
https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-04-05_JP_Mobility_Report_en.pdf
- 日本についてのレポート(4月11日(土)時点)
https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-04-11_JP_Mobility_Report_en.pdf
東京の人の動きの変化 3月29日(日)→4月5日(日)→4月11日(土)
Google のレポートから東京都の部分を抜粋した(赤字は追記)。
3月29日と4月5日は、ともに都知事による外出自粛要請のあった週末、4月11日は緊急事態宣言が出た後初めての週末。前日の4月10日には東京都による緊急事態措置としての正式な休業要請などがあった。
小売り・娯楽施設 63%減→50%減→52%減
3月29日(日)は63%減だったが、1週間後の4月5日(日)は50%減と、やや人が戻った。3月29日は東京は雪で寒く(最高気温4度)人出がかなり少なくなったが、4月5日(最高気温14度、曇り)は1週間前よりは良い気象状況だったことが影響した。
なお、4月4日の土曜日は、最高気温22度の晴れと絶好の外出日和になってしまったこともあり、グラフから読み取ると40%減くらいに留まっている。
4月11日(土)は52%減と、1週間前とあまり変わらず。
食料品店・ドラッグストア 32%減→4%減→+1%増
32%減と大きく減っている3月29日は、悪天候の影響と考えられる。日常品の買い物は生活のために必須なので、4%減の4月5日くらいの水準でちょうど良いのかもしれない。
4月11日は1%増と、さらに人が増えた。都知事によると、銀座や渋谷のような繁華街からは人が減っているが、地元の商店街に人が集まっているという話もあり、それを裏付けるデータとなっている。
公園 66%減→30%減→6%減
3月29日は66%減、4月5日は30%減と、人々は公園へ戻ってきた。小売・娯楽施設よりも人の戻り度合いが大きかったのはおそらく、小売・娯楽施設は営業していないところがあったが、屋外の公園は普通は開いていることも影響したか。あるいは、室内のデパートへ行くより、公園の方がリスクが少ないと考える人が多かったからかもしれない。
特筆すべきなのは、好天だった4月4日(土)、グラフをよく見ると基準値より上にプロットされている。つまり、通常より多くの人が公園へと出かけたことになる。写真は、この日近所に買い物に行った時に通りかかった公園だが、子供たちがたくさん遊んでいた。
4月11日はさらに人が戻ったようだ。公園の人出については、あまり緊急事態宣言の影響はなさそう。
駅・バス停 59%減→58%減→59%減
公共交通機関については、週末の人出は約6割減とあまり変わっていない。雪で極寒だった3月29日と同水準ということは、週末の外出自粛要請の効果がある程度出ていたのではないか。
6割減に挟まれている平日は1週間前は2割から3割減だったが、緊急事態宣言後は4割減くらいまで減ってきている。
職場 27%減→27%減→37%減
週末に職場に出ている人は2週続いた27%減の水準から、37%減まで落ちてきた。
緊急事態宣言後は一層減少傾向が出てきているものの、やはり8割減の水準にはまだ遠い。職場に普通に出勤している人はまだまだ多い。これでも東京の37%減は日本の中では一番良い数字だ。
在宅勤務への移行が進んでいないことを表しているが、悪習を変える覚悟が足りないだけかもしれない。「ハンコをもらうために出社せざるを得ない」という残念なニュースもある。病院やスーパー、物流などを除き、普通のオフィスワークについては早急に在宅勤務に切り替える必要がある。
家 14%増→12%増→17%増
家にいる割合は、14%増から12%増、17%増と徐々に増えてきた。
8割減を達成するためには
新型コロナウイルスの流行拡大を防ぐためには、人との接触を8割減らすことが必要である(参考:8割おじさん)。ここまで見てきたように、Google の街の混雑データによると、東京では4月11日時点では8割減達成はまだ遠い。職場への通勤をもっと減らしていく必要があるだろう。