Google が4月10日、街の混雑データを更新して公開した。日本については4月5日時点のデータに更新されている。データの見方の注意点については、最初に公開された時に以下の記事にまとめている。
この記事では、東京について、2時点のデータを比べてみたいと思う。
- 日本についてのレポート(3月29日(日)時点)
https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-03-29_JP_Mobility_Report_en.pdf
- 日本についてのレポート(4月5日(日)時点)
https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-04-05_JP_Mobility_Report_en.pdf
東京の人の動きの変化 3月29日(日)→4月5日(日)
Google のレポートから東京都の部分を抜粋した(赤字は追記)。
3月29日と4月5日は、ともに都知事による外出自粛要請のあった週末であった。
小売り・娯楽施設 63%減→50%減
3月29日(日)は63%減だったが、1週間後の4月5日(日)は50%減と、やや人が戻った。3月29日は東京は雪で寒く(最高気温4度)人出がかなり少なくなったが、4月5日(最高気温14度、曇り)は1週間前よりは良い気象状況だったことが影響した。
なお、前日の4月4日の土曜日は、最高気温22度の晴れと絶好の外出日和になってしまったこともあり、グラフから読み取ると40%減くらいに留まっている。
食料品店・ドラッグストア 32%減→4%減
32%減と大きく減っている3月29日は、悪天候の影響と考えられる。日常品の買い物は生活のために必須なので、4%減の4月5日くらいの水準でちょうど良いのかもしれない。
公園 66%減→30%減
3月29日は66%減、4月5日は30%減と、人々は公園へ戻ってきた。小売・娯楽施設よりも人の戻り度合いが大きかったのはおそらく、小売・娯楽施設は営業していないところがあったが、屋外の公園は普通は開いていることも影響したか。あるいは、室内のデパートへ行くより、公園の方がリスクが少ないと考える人が多かったからかもしれない。
特筆すべきなのは、好天だった4月4日(土)、グラフをよく見ると基準値より上にプロットされている。つまり、通常より多くの人が公園へと出かけたことになる。写真は、この日近所に買い物に行った時に通りかかった公園だが、子供たちがたくさん遊んでいた。
駅・バス停 59%減→58%減
公共交通機関について、日曜日の人出はともに約6割減と、あまり変わらなかった。4月5日が雪で極寒だった3月29日と同水準ということは、週末の外出自粛要請の効果がある程度出ていたのではないか。
また、日曜日は6割減であったが、平日は2割から3割減に留まっていることもグラフからわかる。「職場」のセクションでもわかるように、出勤している人の減り具合はイマイチとなっている。
職場 27%減→27%減
日曜日に職場に出ている人は27%減の水準で変わらず。グラフから、平日は2割減程度か。
最近は減少傾向にはなっているものの、やはり8割減の水準にはほど遠く、職場に普通に出勤している人がまだまだ多い。これでも東京の27%減は日本の中では一番良い数字で、他の道府県はせいぜい1ケタ%の減である。
在宅勤務への移行が進んでいないことを表しているが、悪習を変える覚悟が足りないだけかもしれない。「ハンコをもらうために出社せざるを得ない」という残念なニュース、「日本がイタリアより在宅勤務環境が整ってないとは思わない」というSNSでの意見もある。病院やスーパー、物流などを除き、普通のオフィスワークについては早急に在宅勤務に切り替える必要がある。
家 14%増→12%増
家にいる割合は、14%増から12%増と微減。ほとんど変わらずと言えるだろう。
8割減を達成するためには
新型コロナウイルスの流行拡大を防ぐためには、人との接触を8割減らすことが必要である(参考:8割おじさん)。ここまで見てきたように、Google の街の混雑データによると、東京では4月5日時点では8割減達成にはほど遠い。現時点で減りの鈍い、職場への通勤をもっと減らしていく必要があるだろう。
おそらく1週間ごとにデータの更新がありそう。4月7日の緊急事態宣言が出た後のデータが1週間後にはGoogle から公表されるだろう。定点観測していきたいと思う。